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2026.03.25更新 気候変動対策

GHG排出量(Scope 1、2)

GHGプロトコルではGHG排出量をScope1、2、3の3つに区分しています。

  • Scope 1(直接排出量)
    自社の事業所等で燃料などを燃焼させることで発生するGHG排出量
     
  • Scope 2(間接排出量)
    他社から購入した電気、熱、蒸気など購入エネルギーに伴うGHG排出量
     
  • Scope 3(その他の間接排出量)
    Scope 1、2以外のサプライチェーン全体(原材料の調達から製品の廃棄まで)におけるGHG排出量

※ 

GHGプロトコル(The Greenhouse Gas Protocol):世界資源研究所(World Resource Institute;WRI)と世界経済人会議(World Business Council for Sustainable Development;WBCSD)が中心になり、世界中の企業、NGO、政府機関等が参加して温室効果ガス/気候変動に関する国際スタンダードや関連ツールを開発するイニシアティブ

取り組み・実績

 クラレグループの2024年の総GHG排出量(Scope 1、2)は、2023年の2,668千トン-CO2から7.1%増加し、2,857千トン-CO2となりました。(2021年比では1.3%減少)

 国内クラレグループでは、2023年の1,145千トン-CO2から2024年は1,187千トン-CO2に増加しました。一部の事業において生産量が前年比で増加したことにより、燃料、ユーティリティ起源の排出量が増加しましたが、国内クラレグループの各生産拠点で、各製品の収率向上、原料・ユーティリティの回収利用、省エネ機器への更新、省エネ活動(ムダ取り活動)などのGHG排出削減に継続して取り組み、2024年は17千トン-CO2の削減対策を実施し、増加を最小限に抑えました。

 海外クラレグループの2024年のGHG排出量は2023年の1,523千トン-CO2から増加し、1,661千トン-CO2となりました(2024年は117千トン-CO2相当の分離型エネルギー属性証明書の取得や再エネプラン契約のユーティリティを調達しており、このGHG排出量削減分を含みます)。海外クラレグループにおいても各生産拠点でGHG排出削減につながる省エネや収率向上に継続して取り組んでいますが、パールリバー工場(カルゴン・カーボン社)、ポーランド新工場(MonoSol社)で新ラインが稼働を開始したことや、イソプレン関連製品の新規生産拠点であるタイ工場の本格稼働で生産量・エネルギー使用量が増加し、GHG排出量は増加しました。

 クラレグループのGHG排出量は2014年以降、ビニルアセテート事業、活性炭事業(カルゴン・カーボン社)の買収などM&Aによる事業編入などの影響で、2019年まで増加しました。特に、2018年のカルゴン・カーボン社の買収の結果、クラレグループのGHG排出量は大きく増加しました。カルゴン・カーボン社から排出されるGHGは、そのほとんどが製品である活性炭の製造プロセスで副生するCO2です。活性炭は原料となる石炭の一部を燃焼し表面に細孔を形成することで製造します。このとき、細孔形成のために除去される石炭表面の炭素はCO2として放出されます。このように活性炭は製造時に多くのCO2を排出しますが、一方で活性炭は工場の排ガス中の有害化学物質の吸着除去、工場排水や飲用水原水などの浄化に不可欠な製品として広く世の中で使われており、地球環境の改善、環境負荷の低減に大きく貢献しています。クラレグループでは、製造過程で副生するCO2の分離・回収、利用、貯蔵(CCUS)の技術確立に向けた検討、省エネ・燃料転換関連投資、電力の再エネ化にも引き続き取り組んでいく予定です。さらに、2035年頃にグリーン水素やグリーンアンモニアなどのCO2排出を伴わないクリーンエネルギーを調達する検討も進めており、2035年までに2021年比63%削減、2050年までにカーボンネットゼロの達成を目指します。

<GHG排出量の修正について>
 クラレグループでは、カルゴン・カーボン社の新炭製造プロセスにおける副生CO2の算定精度向上に向けて算定方法を見直しました。さらに、GHG排出量に対する任意保証の取得準備の過程において第三者機関より指摘を受けたことに鑑み、活動量データや排出係数の根拠をより正確なものに改善しました。これに伴い、2024年度より、クラレグループGHG排出量削減目標の基準年である2021年度まで遡り修正を実施しました。修正結果および修正内容は下表に記載のとおりです。

表:Scope 1、2排出量修正の内訳

Scope 1、2排出量の主な修正内容
・カルゴン・カーボン社の新炭製造プロセスにおける副生 CO2 の算定精度向上等(Scope 1減少)
・米国生産拠点における購入蒸気の排出係数の見直し、海外生産拠点における購入蒸気エネルギー単位の修正等(Scope 2増加)

<Scope 1、2 GHG排出量(クラレグループ)>

(単位:千トン-CO2

クラレグループ2021202220232024
GHG排出量(Scope 1、2)2,8962,7832,6682,857
Scope 1排出量1,8351,7211,6241,804
国内1,1631,0479701,021
海外672674655773
Scope 2排出量1,0611,0631,0431,054
国内178189175166
海外884873868888

※ 

本ページに記載のGHG排出量は2026年3月に実施した見直しを反映した排出量です。
修正前のGHG排出量についてはこちらにてご確認ください。

エネルギー使用量

 サステナビリティ中期計画 Planet の目標として設定した、クラレグループのエネルギー使用量の売上高原単位の2024年実績は、2019年比13.8%の低減(改善)となり、目標である「2026年度に5%以上の低減(改善)」を大きく上回りました。今後も引き続きGHG排出削減につながる省エネ活動などを通じてさらなる原単位の改善に取り組みます。

<エネルギー使用量(国内・海外別)>

クラレグループ(国内+海外)
2019
20202021202220232024
エネルギー使用量原油換算
千KL
1,0891,0021,0751,0651,0591,119
国内

452

422

452

430

394

416

海外

637

580

623

635

665

703

エネルギー使用量の
売上高原単位
(2019年を100とした場合)
目標2026年に2019年比5%以上の低減
実績100----86.6
(13.8%低減)

【ご注意】会計年度変更に伴い、本レポートにおける環境関連データはグラフも含め次のとおりとなっています。

  • 2013年度以前:4月-3月の12ヶ月実績
  • 2014年度 :4月-12月の9ヶ月実績+2014年1月-3月実績(または推定値)(2013年度と重複しています)
  • 2015年度以降:1月-12月の12ヶ月実績

GHG排出量(Scope 3)

 Scope 1、2は事業者が算定し国に報告することが法で義務付けられており、クラレでも国に報告するとともに、クラレグループ全体のScope 1、2排出量をクラレレポート、クラレウェブサイト等で公表しています。

 一方、Scope 1、2以外のサプライチェーン全体を考慮したGHG排出量であるScope 3は、クラレの直接的な事業活動による排出量だけではなく、原材料の調達から製品の流通、使用、廃棄に至るライフサイクル全体の視点から排出量を把握するものです。この度、Scope 3の算定範囲を国内からクラレグループ全体に拡大し、同時にカテゴリー1の算定方法を変更しました。カテゴリー1については、従来は主要原料のみの購入金額に、各原料部門に応じた金額単位の排出原単位(購入者価格ベース)を乗じて算定していましたが、対象品目を拡大し、かつ個々の品目ごとの排出原単位(重量ベース)を使用することにより算定確度を高めました。

 さらにScope 3で排出量の大きいカテゴリー1について、2035年までに2021年比で37.5%削減するという目標を新たに設定しました。

クラレグループのサプライチェーン全体でのGHG排出イメージ 2024年
(図中の①から⑮はScope 3のカテゴリーを示す)

サプライチェーン全体のGHG排出量概要図

取り組み・実績

 クラレグループの2024年Scope 3(カテゴリー1)の排出量は2023年の3,506千トン-CO2から6.8%減少し、3,268千トン-CO2となりました(2021年比では10.0%減少)。今後はサプライヤーと協働し排出量削減に向けた取り組みを進めていきます。

<GHG排出量の修正について>
 クラレグループでは、GHG排出量に対する任意保証の取得準備の過程において第三者機関より指摘を受けたことに鑑み、活動量データや排出係数の根拠をより正確なものに改善し、また、算定対象範囲を拡大しました。これに伴い、2024年度より、クラレグループGHG排出量削減目標の基準年である2021年度まで遡り修正を実施しました。修正結果および修正内容は下表に記載のとおりです。

表:Scope 3排出量修正の内訳

Scope 3(カテゴリー1、カテゴリー4)排出量の主な修正内容
・一部原材料の排出量の見直し(カテゴリー1減少)
・算定対象の購入製品・サービスの拡大(カテゴリー1増加)
・排出係数の見直し(カテゴリー1減少)
・カテゴリー1の算定対象の拡大に伴うカテゴリー4の見直し(カテゴリー4増加)

<GHG排出量(Scope 3)※1

(単位:千トン-CO2

カテゴリー2021202220232024
1.購入した製品・サービス※23,6303,5813,5063,268
2.資本財133157344263
3.Scope 1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動546549534574
4.輸送、配送(上流)290326318299
5.事業から出る廃棄物78785868
6.出張1222
7.雇用者の通勤4455
8.リース資産(上流)対象のオフィス、電気製品、社用車の排出量はScope 1、2に含めています。
9.輸送、配送(下流)クラレグループの製品は、多様な用途において主に中間製品として販売し、輸送、加工、およびその廃棄までの追跡と把握が困難であるため、排出量の合理的な算定が不可能であり、これらのカテゴリーを算定対象外としています。
10.販売した製品の加工
11.販売した製品の使用
12.販売した製品の廃棄
13.リース資産(下流)他社にリースしている資産はないため、当社に該当しません。
14.フランチャイズフランチャイズ制をとっていないため、当社に該当しません。
15.投資有価証券報告書に記載のとおり、投資目的での他社の株式保有は行っていません。
Scope 3合計4,6824,6974,7674,479

※ 

本ページに記載のGHG排出量は2026年3月に実施した見直しを反映した排出量です。
修正前のGHG排出量についてはこちらにてご確認ください。

※1 

クラレおよび連結子会社72社を対象(全連結子会社73社:2025年12月末現在)

※2 

「生産のための原材料・資材・サービスの購入量(重量または金額)×各物質の排出係数」で算出した。但し、物質が特定できない場合は「金額×平均排出係数」で算出した。排出係数はManaged LCA Countentver.2024またはサプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベースver.3.5を用いた。

<Scope 3のGHG排出量削減の取り組み例(製品輸送時の環境負荷低減)>

 クラレでは製品をユーザーへ輸送する際の物流段階でのGHG排出量の低減に取り組んでいます。例えば、トラックでの輸送効率を改善するため、製品の保管場所(倉庫)を集約し、複数個所から出荷していた製品を1か所からの出荷として輸送単位を大ロット化することで、複数台のトラックで輸送していた製品をトレーラー1台に切り替える取り組み、トラック等の自動車から貨物列車、船など環境負荷の小さい輸送手段に転換する「モーダルシフト」の取り組みを継続しています。また、国が進める「ホワイト物流」推進運動に賛同し、2019年に自主行動宣言を提出しました。

カーボンフットプリント

カーボンフットプリント(CFP)の活用

 サプライチェーン全体を通したCO2排出量を計測するというトレンドが高まっています。こういった状況下、顧客よりクラレグループ製品のカーボンフットプリント(CFP※1)を求められる機会が増えています。そこでクラレグループでは、グローバルで統一したCFP算定体制を整備し、2024年から運用を開始しました。CFP算定方法は主要な国際標準※2および化学業界のガイドライン※3を参照しており、算定範囲については自社の工場の出口まで(Cradle-to-gate)としています。加えて、計算主体と検証主体を別部署とすることで、算定結果の客観性と信頼性を高める仕組みとしています。また、リサイクルやバイオマス原料の活用を伴う環境配慮型製品・技術の新規開発の評価手法の1つとしてもCFPを活用しています。

※1 

Carbon Footprint of Productsの略。商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算した値。素材業界では算定範囲をCradle-to-gateとすることが一般的

※2 

ISO14040:2006、ISO14044:2006、ISO14067:2018

※3 

日本化学工業協会 化学産業における製品のカーボンフットプリント算定ガイドライン(2023年2月発行)、Together for Sustainability The Product Carbon Footprint Guideline for the Chemical Industry(Version 2.1)

TCFD提言への対応

 クラレグループは気候変動対策を当社の取り組むべき重要課題の一つとして捉え、2020年11月に気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に賛同を表明し、TCFD提言が推奨する4つの開示項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿ってクラレグループにおける気候変動への取り組みについて開示しています。

※ 

金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された。

ガバナンス


 クラレグループでは、社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、気候変動を含むサステナビリティ課題について各種施策の審議・報告・進捗管理を行っています。サステナビリティ委員会の傘下には、サステナビリティ中期計画で掲げたグローバル施策を実行するプロジェクトチームを配置し、各プロジェクトの着実な実行を推進する体制を構築しています。
 また、サステナビリティ委員会にて重要と判断された事項については取締役会に付議または報告し、取締役会の意見をサステナビリティ課題への取り組みに反映しています。

戦略


 低炭素社会への移行において想定される事象、および気候変動に伴い発生する物理的な事象に対するクラレグループのリスクと機会を表1のとおり選定しています。

表1 : 気候変動に伴うクラレグループにおけるリスクと機会

※短期 :1年以内、中期 : 1~5年、長期 :5年超

 次に、表1で選定したクラレグループのリスクと機会に基づき、低炭素社会への移行が進む2℃以下シナリオ(含む1.5℃シナリオ)および気候変動が進む4℃シナリオを用いた分析を行いました。当該分析の結果、クラレグループにおける事業へのインパクトは表2に記載のとおりとなります。

【シナリオ分析の前提】
・基準年:2021年、算定対象年:2035年
・参照した外部データ
  ー  World Energy Outlook 2024 (IEA: International Energy Agency)
  ー  Working on a warmer planet (ILO: International Labour Organization)
  ー  Climate Impact (ウェザーニューズ社) 他

表2 :気候変動シナリオにおけるクラレグループの主要なリスクと機会の事業インパクト

 低炭素社会への「移行リスク」では、2℃以下シナリオにおけるGHG排出およびエネルギー調達に対する炭素税等の影響が大きく、2035年までに計画中のGHG排出削減策を完了した後でも約260億円の炭素税等の賦課により操業コストが増加する可能性が示されました。現行の中期経営計画「PASSION 2026」ではインターナルカーボンプライシング制度を導入しGHG排出量に対する賦課額等を認識したうえで、GHG排出量の削減やエネルギー効率の向上を図るとともにGHG排出量を抑えた事業の拡大を目指しています。また「PASSION 2026」では3つの挑戦の1つに「機会としてのサステナビリティ」を掲げ、各種施策を進めています。中でも、WBCSDが定めた客観性・透明性の高い製品ポートフォリオ評価手法であるPSA(Portfolio Sustainability Assessment)に準拠したクラレPSAシステムを構築し、自然環境・生活環境貢献製品の拡大を図り、これら環境貢献製品が創出する市場価値の製品・サービス価格への反映を促進していきます。

 気候変動に伴う「物理的リスク」では、洪水災害発生による操業への影響が想定されます。これに対し、人命・地域等の安全対策を講じたうえで事業の継続または早期復旧に努めています。また洪水災害による財産の毀損を補填するための手段も講じ、被害影響の低減を図っています。
 なお、気候変動への対応は中長期的な課題であることから、適宜適切なタイミングで施策の見直しや新たな施策の検討を継続的に実施していきます。

※ 

WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)

リスク管理


 クラレグループでは表2に記載する主要リスクに対して、「緩和」と「適応」の両側面についてリスク管理を実施しています。
 低炭素社会への「移行リスク」を「緩和」するため、GHG排出量削減や環境貢献製品の売上高比率の拡大を進めています。これら取り組みの進捗状況はサステナビリティ委員会にて確認しています。
 一方、気候変動に伴う「物理的リスク」への「適応」策については、災害対策・事業継続性の観点で各組織が毎年リスク自己評価を実施した結果を、リスク・コンプライアンス委員会(委員長 : サステナビリティ推進本部担当取締役)で討議のうえ重要なリスクを抽出し、社長が経営リスクとして特定し統括責任者を指名して対策を進めています。

リスクマネジメント

指標と目標


 サステナビリティ中期計画では気候変動に関わるGHG排出削減および自然環境・生活環境貢献製品の売上高比率を表3のとおり目標として設定しています。また、クラレグループは2050年カーボンネットゼロの達成を目指し、2021年比で2035年までにScope 1、2の排出量を63%、Scope 3(カテゴリー1)の排出量を37.5%それぞれ削減するという目標を設定しています。

表3: サステナビリティ中期計画の気候変動に関わる施策と目標

 また、気候関連指標カテゴリーに沿った情報は以下に記載のとおりです。

(1)GHG排出量GHG Scope 1、2排出量
GHG Scope 3排出量
(2)移行リスク表1:気候変動に伴うクラレグループにおけるリスクと機会
表2:気候変動シナリオにおけるクラレグループの主要なリスクと機会の事業インパクト
クラレPSAシステム
(3)物理的リスク
(4)気候関連の機会
(5)資本の配分GHG排出削減に向け2030年までに800億円の設備投資を予定
(6)インターナルカーボンプライシング(ICP)インターナルカーボンプライシング(ICP)制度
(7)報酬役員報酬制度
サステナビリティ関連指標を役員報酬に反映

インターナルカーボンプライシング(ICP)制度

 クラレグループは、ICP制度を導入することで、省エネルギー推進へのインセンティブ、 収益機会とリスクの特定や投資意思決定の指針として活用し、低炭素社会の実現を目指しています。

【クラレグループのICP制度】

社内炭素価格10,000 円/トン-CO2 (※海外においては社内為替レートを用い換算)
運用開始2022年1月から
制度対象CO2の排出量増減を伴う設備投資
適用方法CO2排出量の増減を社内炭素価格の適用により費用換算し、投資判断のひとつの基準として運用