社長メッセージ
2025年度上半期の事業環境は、米国の関税政策等により第2四半期以降主要市場での需要減速が顕在化し、今後の不確実性が一層高まりました。日本では外需の低迷により景気回復に陰りが見られました。米国は内需に支えられ底堅く推移したものの、関税政策により成長が鈍化する見込みが高まりました。欧州は緩やかな拡大基調であったものの、先行きに不透明さが増しました。中国は政府の刺激策により個人消費が下支えされたものの、不動産市場を中心に低成長が継続しました。このような環境下、当社グループの業績は、売上高は前年同期比113億円減の4,000億円、営業利益は192億円減の263億円、親会社株主に帰属する中間純利益は164億円減の140億円となりました。売上高の減少、原燃料価格の上昇、販管費の増加などにより、減益となりました。
2025年度通期業績見通しは、上半期の業績、足元の事業動向及び不確実性の高まっている経済環境を踏まえ、前回見通し(2025年2月12日公表)から修正し、売上高8,400億円、営業利益750億円、親会社株主に帰属する当期純利益330億円を見込んでいます。
当社グループでは、中期経営計画「PASSION2026」に基づき、事業ポートフォリオの高度化を推進しています。2025年度上半期における進捗としては、光学用ポバールフィルム生産設備の増設を決定しました。また、EVOH樹脂〈エバール〉のシンガポール新プラント建設が2026年末の稼働開始に向けて順調に進んでいるほか、活性炭事業の米国における既存工場の拡充や新工場建設の検討を進めています。加えて、ユニークな表面改質技術を持つ米ネルンボ社を買収するなど、将来の成長に向けた布石を打ちました。一方で、アクリル系ブロック共重合体〈クラリティ〉、及びポリエステル関連製品の生産を終了することとしました。今後もメリハリを利かせた経営資源の投入を行い、持続的な成長の実現を目指します。
当社は株主の皆様に対する利益配分を経営の重要課題と位置付け、「親会社株主に帰属する当期純利益に対する総還元性向50%以上、1株当たり配当金の維持・増額、自己株式取得の継続的実施を目指す」を株主還元方針としています。この方針に基づき、2025年度の中間配当金は期初に予定しておりました1株当たり27円とさせていただきました。また、期末配当予想についても1株当たり27円としており、当期の年間配当金は54円とさせていただく予定です。なお現在、取得株式数2,200万株、総額300億円を上限とした自己株式の取得を進めており、2025年度の総還元性向は約142%となる見込みです。
株主の皆様には、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
代表取締役社長 川原 仁