2026年社長年頭挨拶
昨年は、米国の関税政策や地政学的状況の変化を背景に世界経済の不確実性が増し、クラレグループの多くの事業・製品においても直接、間接的に影響を受けることとなりました。2026年も外部環境の不透明さは継続し楽観が許されない状況ですが、私たちはさまざまな環境変化に柔軟に対応し、足元の収益を確保しつつ、将来への布石を的確に打つことが肝要です。
本年度は、5カ年の中期経営計画「PASSION 2026」の最終年となります。計画に掲げた各施策・経営目標の達成に向け行動するとともに、クラレグループの持続的な成長につながる道筋を具現化する重要な年と位置付け、将来を見据えた取り組みを進めていきましょう。
「3つの挑戦」を自分事と捉えて積極的に参画し、より良い未来を築く力に
「PASSION 2026」では重要課題として「3つの挑戦」を掲げ、それぞれの挑戦テーマにおいて多くの施策を実行中です。代表的なものとして、「機会としてのサステナビリティ」では昨年、温室効果ガス(GHG)の排出量削減目標を更新しました。米国がパリ協定から離脱するなど、環境問題に対する情勢は変化していますが、長期的な視点を持って、排出量削減目標の達成に向けた施策を着実に実行していきます。
次に「ネットワーキングから始めるイノベーション」では、これまで社内外のリソースを結びつける活動に注力し、スタートアップとの連携やオープンイノベーションを強化してきました。昨年、米国のスタートアップ、ネルンボ社を買収しましたが、同社の持つ幅広い基材に対するユニークな表面改質技術と、クラレグループの研究開発力、生産・技術力、事業運営・展開力を融合させることで、将来の新事業創出につなげることを期待します。
そして「人と組織のトランスフォーメーション」では、新たに「Kuraray Northstar Project」をスタートさせました。NorthStarは日本語で北極星のことですが、「指針」や「目標」、あるいは「揺るぎない存在」といった意味を持つ言葉です。このプロジェクトは、主にコーポレート部門のグローバルな組織体制や業務プロセスの変革を目的としたもので、各コーポレート部門において、本社を中心として連携を進めるべき領域とそれぞれの拠点が自身の裁量で行うべき領域を分けた上で、グローバル連携を深めることを目指します。クラレグループの事業活動に対するサポート機能を向上させ、かつ効率的に行うためにあるべき組織運営体制を定め、今後数年をかけて移行を図ります。
グローバルな人事変革を目指す人事部門の「THRIVE」プロジェクトも、この取り組みの一環です。THRIVEとは英語で、「力強く成長する」「繁栄する」といった意味を持つ言葉ですが、人事関連業務のさまざまな場面で社員の皆さんをサポートし、優秀な人材を惹きつけ、事業の持続可能な成長を推進するような人事機能の構築を目指します。仕事や組織の在り方の見直しを通じて、One Kurarayの精神が共有され、部門間の壁を越えてクラレグループ全体で最適化を図る意識が育まれることを期待しています。
これらを含むすべての挑戦、或いは本質的な変革にはある程度の時間がかかり、成果はすぐに現れないかもしれませんが、一つひとつの取り組みが、私たちのより良い未来を築く力になります。皆さんが「3つの挑戦」を自分事と捉えて、これらのプロジェクト・取り組みに関心を持ち、積極的に関与していただくようお願いします。
創立100周年という節目を、過去から学び未来を創造するためのヒントに
さて、本年6月24日に当社は創立100周年を迎えます。現在、国内外のクラレグループ各拠点のプロジェクトメンバーで、創立100周年に向けて複数の企画・準備を進めています。その第一弾として、本日から「100チャレンジ」アプリがスタートし、世界中の仲間とともに楽しみながら参加できる企画が多数用意されています。今後、各拠点で実施予定のいろいろな企画やイベントについても、社員向けの100周年ポータルサイトにおいて日英の2か国語で公開しています。
私はこれまで、創立100周年の機会に皆さんが、クラレグループの歩んできた歴史や私たちが大切にしてきたこと、クラレグループのDNAとして引き継がれている果敢な開拓者としての精神などについて、決して懐古主義になることなく、未来を創造するためのヒントとしてじっくり考えてほしいとお伝えしてきました。これらの企画に皆さんが積極的に参加することを通じて、クラレグループがこれまで培ってきた価値観を共有しながらさまざまなつながりを実感することで、One Kurarayとしての結束をより強めてほしいと思います。創立100周年のこれらの取り組みが、クラレグループの未来に向けての新たな一歩となることを心から期待しています。
安全はすべての礎
そして、100周年を皆さんとともに祝い、その先の未来へ歩を進めていくためには、何をおいてもクラレグループが「安全で、安心して働ける会社」であることが基本です。私たち一人ひとりが『安全はすべての礎』であることを強く意識し、安全であることに対して深く考え、仕事に取り組みましょう。そして、社員全員が失敗を恐れずに挑戦する前向きな姿勢と行動力を持つことで、クラレグループが活力と創造力のある元気な企業であり続けたいと願っています。
最後になりますが、世界中のクラレグループの皆さんとご家族の方々にとって、本年が健康で幸多い年となりますようお祈りしまして、私の挨拶といたします。
※こちらは、2026年1月5日に、クラレグループ社員向けに行われた年頭挨拶です。