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歴史

写真 かつてのクラレの施設の様子

“他人(ひと)のやれないことをやる”を体現するイノベーションの旗艦として。

くらしき・つくば両研究センターの起源は、1968年に創業の地・岡山県倉敷市に設立された中央研究所にさかのぼります。“世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる”という当社の使命を体現するイノベーションの中核として、研究開発本部はいくつもの挑戦から様々な新素材を生み出してきました。その挑戦の精神は、現在の研究員にも受け継がれています。

1968

中央研究所 (現くらしき研究センター)設立

“クラレのDNAが息づく研究開発の旗艦の船出”

当社の研究開発は京化研究所(大正14年設立)で始まり、ビニロン工業化における基礎研究や世界初の人工皮革である〈クラリーノ®〉の開発など、化学産業の発展に資する成果を生み出してきました。1968年には、近代的研究をさらに発展させるべく、創業の地である倉敷に中央研究所(現・くらしき研究センター)が設立しました。

「企業を通じ、製品を通じて社会に奉仕するための研究開発」を掲げ、中央研究所はクラレのDNAが息づく研究開発の旗艦としての船出をしました。

写真 くらしき研究センター

1970s

メディカル事業開発

クラレの高分子関連技術を駆使し、日本の医療に貢献する事業を立ち上げるという強い想いを胸に、研究者たちは医療関連分野におけるさまざまな技術開発に挑戦しました。歯科分野では、高分子材料による虫歯治療を実現するために「接着性充填修復システム」を開発しました。このシステムは、その優れた接着性によって臨床的有用性が認められ、飛躍的に普及して現在の歯科材料事業の礎となりました。その後も歯科分野で革新的な歯科材料製品の開発を続け、歯科医療の発展に貢献し続けています。

素材写真 歯科材料

1970s-1990s

独自の有機合成技術を用いたファインケミカル事業の発展

“香料、医・農薬中間体から半導体材料へ”

ファインケミカル領域への参入に向け、中央研究所では有機合成技術を駆使したイソプレン誘導体の研究開発に取り組みました。研究者たちの有機合成技術に対する飽くなき探究は、テルペン系・ピレスロイド系化合物合成技術という形で結実し、合成香料・ビタミン中間体 ・農薬中間体事業を生み出しました。中央研究所で培われた独自の有機合成技術は、その後多くの医薬や医薬中間体の創生、さらには現在の半導体関連材料へと発展し、産業の発展に貢献し続けています。

写真 有機合成技術によるファインケミカル素材

1970s-1990s

機能性ジオール群事業の創生

“高分子工業の発展に貢献する貴金属錯体触媒反応への挑戦”

汎用高分子が出揃い、高分子工業の発展段階にあった当時、高性能化が進むポリマーの開発において、機能性ジオール類の開発が求められていました。研究者たちは貴金属触媒反応の研究を基盤に、さまざまな機能性ジオールの開発に挑戦しました。その結果、エンジニアリングプラスチック事業への足掛かりとなった1,4-ブタンジオール新製法の発明、新規ポリウレタン事業を視野に入れた3-メチルペンタンジオールの開発、さらに当時供給過多にあったブタジエンを原料とする水和二量化反応を基盤とする1,9-ノナンジオールの世界初の工業化など、数々の成果を挙げました。当社が開発した新規触媒設計や触媒分離技術は、貴金属錯体化学工業の黎明期において、その根本的課題に対する解決法として、高分子工業の発展に貢献しました。

写真 ビーカーから注がれる機能性ジオール

1990s

独自ケミカルからの高分子素材

“新規耐熱性ポリアミド〈ジェネスタ®〉の誕生”

〈ジェネスタ®〉は、クラレが世界で初めて工業化した独自モノマーであるノナンジアミンを原料に、約30種類の候補物質を徹底的に研究し、試行錯誤の末に誕生した耐熱性ポリアミド樹脂です。この新素材は、優れた耐熱性、耐薬品性、低吸水性などの特性により、電気・電子部品や自動車部品など様々な分野で評価されています。現在、国内・海外を合わせて年産26,000トンの生産能力まで拡大した〈ジェネスタ®〉の起源は、知的好奇心と挑戦的マインドを兼ね備えた研究者の努力にあります。

製品写真 ジェネスタ

1994

筑波研究所(現つくば研究センター)設立

“高分子材料の基礎~応用研究まで担う研究開発の拠点が誕生”

インターネットのなかった1988年、倉敷から遠い関東の最新研究動向をキャッチアップするために、茨城県つくば市に中央研究所の筑波研究室を開所しました。その後、世の中の研究開発が一段と高度化・多様化する状況に対応すべく、つくば万博の跡地に移転し、筑波研究所(現・つくば研究センター)に発展。高分子材料の基礎検討から応用研究まで一貫した研究体制が整う筑波研究所は、倉敷の中央研究所とともに、クラレのイノベーションを担う両翼となりました。

写真 つくば研究センター

2000s

コア技術の新たな展開

“〈クラリーノ®〉の技術が生んだ半導体用研磨パッド”

半導体産業に欠かせないシリコンウエハー研磨パッド。高硬度・高耐摩耗性に優れたクラレの研磨パッドは、実は人工皮革〈クラリーノ®〉で培われた中央研究所のポリウレタン設計技術が元になっています。半導体産業を知る営業担当者とポリウレタンの研究者が会議室で議論する中でアイデアが生まれ、即日研究開発をスタートしたというエピソードは、市場開発と技術開発が両輪となったイノベーションの象徴でもあります。

製品写真 シリコンウエハー研磨パッド

製品はじめて物語

クラレグループの製品には、独自開発の歴史の中で培った技術に支えられる世界トップ製品が数多くあります。こうした製品の開発には、クラレの理念追求型の開発思想や独創性の高い技術力が不可欠でした。

クラレグループにおける新規事業開発に関する理念や創業期の苦難など、エピソードをご紹介します。