衣料用テキスタイル事業の移管、及びポリエステル長繊維生産部門の分社化
当社は、本年度より開始した中期経営計画「G-21」で挙げた収益改善策の一環として、衣料用テキスタイル事業をクラレトレーディング株式会社に移管(02年4月)するとともに、西条事業所(愛媛県 西条市)内のポリエステル長繊維生産部門を分社化(01年10月)します。
概要
1. 背景・目的
当社のポリエステル長繊維事業(クラベラ事業)は、1969年の生産開始以降、当社繊維事業の中核としての地位 を占めてまいりましたが、近年は国内消費の不振、輸入製品の増加による影響を受け、1998年度及び2000年度には赤字になるなど、厳しい状況が継続しています。しかしその一方で、従来当社が進めてきたポリエステルでの機能性の追求、独自ポリマー製品の展開は、ひかり消臭繊維<シャインアップ>やEVOH繊維<ソフィスタ>などを生み、市場でも高く評価されています。
クラレトレーディング(株)は当社が100%出資する専門商社で、当社製品全般 に亘り最大の取引先です。中でも衣料関連事業では、当社製品の販売と同時に、当社ポリエステルと他繊維との複合素材や、2次製品を独自に巾広く展開し実績を上げています。
現在、日本のポリエステル事業は、その開発力において世界でも高い評価を受けており、中でも当社はトップレベルの能力を持つと市場からの評価を頂いています。しかしながら輸入製品の増加など、縮小している国内製品市場においては、更なる競争力の強化無くして当事業の維持・収益改善は困難と判断するとともに、中期経営計画「G-21」で掲げる“マーケットイン指向”を実践すべく、テキスタイル事業を移管し、2次製品の展開を含めた体制でより市場に密着した運営を進めます。
この度の事業移管の目的は次の通りです。
- (1) テキスタイルから2次製品までを含めた総合展開
- クラレにおけるテキスタイルと、クラレトレーディングが国内外で培ったアパレルなど、双方のノウハウを一体化し、より巾広いコンバーター機能を強化します。
- (2) トータル的なコストダウン
- グループ内での原糸からテキスタイル・2次製品までの一貫生産によるトータルコストの合理化を進め、コスト面で定着・拡大が図れなかった商品や分野での積極的な展開を進めます。
- (3) 人材の統合によるシナジーの追求と、商社機能を生かしたマーケットイン指向の強化
- 2社に別れていた人材を1ヶ所に集めることにより、両社の持つ相互のノウハウ(クラレの素材開発力とクラレトレーディングの直販力・2次製品の展開力など)を共有し、より強化していきます。
またこの事業移管に併せ、西条事業所のポリエステル長繊維生産部門を分社化します。
分社化の目的は次の通りです。
- (1) 変化を続ける市場に対応する機動力向上
- 独立した組織とし、意思決定のスピードアップや小回りの効く生産体制を築き、刻々と変化する市場への対応力の強化を図ります。
- (2) 更なるコスト合理化
- 間接部門コストやユーティリティー(固定費部分)などの変動費化、及び独立採算によるコスト意識の強化などにより、更なるコスト合理化に繋げます。
2. クラレトレーディングへの事業移管の概要
実施時期 | 2002年4月 |
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移管対象 | 衣料用テキスタイル事業全般 (原糸の開発・生産・販売については、クラレが継続) |
移管人員 | 約70人 |
移管売上 | 約250億円 |
3. ポリエステル長繊維生産部門分社化の概要
設立時期 | 2001年10月 |
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社名 | クラレ西条株式会社(仮称) |
住所 | 愛媛県西条市朔日市892(現 クラレ西条事業所内) |
社長 | 二見 毅(現 クラレ西条事業所長 予定) |
資本金 | 未定 |
従業員数 | 約260名 |
(ご参考)
クラレトレーディング株式会社
本社 | 大阪市中央区平野町2丁目5番4号 TEL:06-6226-9011(代表) |
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社長 | 牧野充伸 |
資本金 | 15億円(クラレ100%) |
全社売上 | 780億円(2001年3月期) |
繊維関連売上 | 約400億円(2001年3月期) |
従業員数 | 220人(2001年3月末) |
事業内容 | 衣料関連製品、繊維資材、化学関連製品等の専門商社 |